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北国のオアシス

国内最大級のゴールドクレスト

 国内では屋内外問わず栽培が比較的難しいとされている「ゴールドクレスト」ですが、ここ室内公園では6mに達しました。植え込まれた4年前は2mほどでしたので平均すると毎年1m伸びたことになります。コニファーのなかでは最も人気があり、クリスマスのデコレーション、コンテナを使った寄せ植えの芯として重宝されていますが、耐寒性がないため東北以北での露地栽培は不可能です。寒さに弱いからといって冬期間暖房した室内に取り込むと湿度が低いため枯らすことになるので、暖房していない薄日が差す程度の部屋に取り込み、乾いたら少し水やりする程度で越冬させると失敗が少なくなります。

 国内において「ゴールドクレスト」の生育条件は許容範囲の狭い樹種といえます。屋外で越冬できる本州では夏の暑さ、梅雨時の高温多湿、台風など強風(根の張りが弱いため)による被害を受けるため大きいものは珍しいようです。かといって暖地ではガラス温室のような環境では夏越しできません。この室内公園のように冬は12〜18度前後、夏は20〜25度前後に保たれた室温と適度な空中湿度、土が過湿・極端な乾燥とならない程度の水やりによってきわめて良好な成育環境を作ることができます。皮肉にも北海道のような冷涼な地域の屋内施設が最適ということになります。(暖地では夏期冷房のための維持管理費は巨額になるため)

 実はこの「ゴールドクレスト」、予想される室内環境を意識して採用した樹種のひとつですが、ここまで順調に生育するとは想像できませんでした。比較するため採用した、屋外でも越冬可能な人気樹種「ブルーヘブン」は成育が思わしくなく予想に反して馴化するのに時間がかかりました。これに対し、「ゴールドクレスト」はほぼ天井の金属フレームに達しこれ以上高くできないため、緑化相談員を担当されている樹木医の泉先生が剪定ハサミを使って樹形を整えています。下枝は残念ながら芝生の養生、安全対策のため切り落とさざるを得なく本来の自然樹形ではなくなっていますが、全体のバランスで見るとさほど違和感はないでしょう。

 将来は、飾り付けされた巨大なライムグリーンのクリスマスツリーが来園者を楽しませる日がくるかもしれません。

「ゴールドクレスト」・・・Cupressus macrocarpa 'Goldcrest'
「ブルーヘブン」・・・・・Juniperus scopulorum 'Blue Heaven'


周囲の樹木を圧倒し、高さが6m近くになったゴールドクレスト兄弟


植え付け当時(2002年11月)はこんなに小さかった


北海道から発信されているコニファー専門サイト「ポンニタイ」さんのページを参照してください


有限会社 川原花木園