ここ数年、書店に行くと特に春先はところ狭しとばかり園芸関係の書籍が眼につきます。かつては本棚の片隅に申し訳程度に並んでいたような気がします。今や若い人たちや家庭の主婦を対象にしたものが多くなっており性別年齢を問わず広がりを見せているようです。中身はさておいても歓迎すべきことではないでしょうか。
ずいぶん前のことですが、園芸とは無縁のある雑誌を手にすると、表紙にガーデニングをテーマにした特集記事が掲載されていました。そこには三人の女性デザイナー、コーディネーターが考えるガーデニングの思想、主張が述べられており興味深く読ませてもらいました。
そもそもガーデニング(Gardening)とはどういう意味なのでしょうか。読んで字のごとく庭造り、造園、園芸を行うなどの意味で、環境、景観を意識したランドスケープ(Landscape)とは意図するものが違うと思います。庭造りだけでなく植物を育てながら生き物に対しての理解や愛情を深めるといった意味もガーデニングには含まれているといった意見があります。専門業者が期間内にあたふたと庭に木や石を配置しそれで完成といった造園とは違うと主張しているのでしょう。いずれにしても、とかくコンクリート社会の中に埋没している都会の人にとっては自ら庭に出て土に触れるのですから、すばらしいことではありませんか。
さて話は戻りますが、先ほどの記事について私なりに要点をかい摘んでみました。
三人の女性はもともとは造園を専門に学んだわけではなく、農学部卒業後、大手の園芸会社に勤めていた方。学生時代は美術史を専攻し、後イギリスでガーデンデザインを学んだ方。繊維関係のデザイナーであり、海外でそうした素材を手にするうちにその国の文化歴史に興味を持ちやがてイギリスの庭園に心魅かれた方。とその経歴は様々なようです。それぞれ異なる考え方から生み出されたガーデニングを皆さんがどうとらえ、取り入れていくかは自由です。土をいじる前に頭の中を整理しておきましょう。またデザイン中心の考え方ばかりを全面に押し出すのは、生き物に負担をかけすぎるので気を付けなければならないと思います。ガーデニングを単なるブームで終わらせないためにも、こうした点に配慮し、イメージだけの言葉に惑わされないように願っています。