色彩のコミュニケーション

第3話 デジタルも万能ではない

 今では北国の緑化を代表する樹種のひとつになったプンゲンストウヒですが、なかでも銀白色が美しい園芸品種の人気は高く、独特な色調は神秘的で多くの人々を魅了させています。

 接ぎ木で養成された園芸品種であれば個体差がないので、土壌条件、季節的変化、移植の有無を別とすれば安定した色調が得られます。しかし園芸品種は高価なので、銀白のプンゲンストウヒの大半は実生養成品から選抜されているのが実状で、色調に個体差があることから発信者と受信者との間にギャップを生じることがあります。

 また客先より「現物を見る時間がないので写真を送ってほしい。」ということがあります。ご存じのように明度が高く色の成分が複雑なものほど撮影条件、現像条件によって色調が変わってしまうので安心できません。あらかじめカラーサンプルなど基準になるシートを客先に配布しておき、それと併用すればトラブルが軽減されるのではないかと思います。

デジタルも万能ではない。

 急速に普及してきたデジタルカメラですが、従来のカメラとは違ってフィルムがいらない、現像所に出す時間と手間が省ける、撮影後にパソコンに取り込み様々な加工や修正ができるなどの利点があるため、緑化業界でも活用され始めています。しかしデジタルデータだからといって色調の再現性に優れているわけではありません。モニター、プリンターなどの出力装置は発色の仕組みが異なるため、同一の色調にはならず、色あわせが難しいのです。


 下図のように色彩のコミュニケーションを計る手段は様々です。それぞれの特性、長所短所を考えながら活用することが望まれます。

コミュニケーションの手段